じりつにっき

ド田舎実家住み一人事務員の日記です。パニックを起こしやすい重度コミュ障のメンヘラです。精神的な自立を目指しています。

はじめての文学フリマ

先日、生まれて初めて文学フリマに行ってきた。流通センター駅とかいうところで行われていた。モノレールにポケモンのラッピングがされていて可愛かった。

文学フリマには学生時代に所属していたサークルが参加していたのだけど、私は一度も顔を出さなかった。
いくらでもチャンスがあったのに、文学フリマがどういうところなのか知らないまま生きてきた。
気になってはいたけど、人と約束もしていないとなかなか足が向かなかった。

今回は、前日に学生時代の先輩から飲み会に誘ってもらって東京に行ったから、ちょうどよかった。
帰る前に行けた。
一方的にメチャクチャ好きなTwitterアカウントの人の同人誌を購入。
たぶんご本人なのだろうと思うと、緊張のあまり手が激しく震えた。
小刻みとかじゃなく大揺れだった。
久し振りだった。昔女性向けの同人イベントでも同じ現象が起きた。
今回、最初は目当てのブースの位置を勘違いして、他の人を見て(あの……人……? 思ったより若いけどイメージ通りの繊細そうな方だ……)と思って、心臓がドクンと跳ねた。ちがった。間違えて話し掛けなくて良かった。間違えましたって言ったらいくらなんでも失礼すぎる。
実際のその人のブースは、わりと切れ目なく人が居て、案の定人気があった。人が途切れたのを見計らって近付いたら、「こんにちは」と言われて、「こんにちは」と返した。「一部ずつお願いします!」と頑張って発声したら「ありがとうございます」と言われ、お金を払った。お釣りを5円もらった。本をもらった。そのすべての動作で手が激しく揺れた。そこまで揺れたのは久し振りで自分でもビックリした。いつもは、ちがうんです。小刻みに震えるくらいなんです。いつもここまで揺れることは、さすがにないんです。新鮮な魚かと思った。ビチビチ跳ねていた。
「ありがとうございます。ありがとうございます。ありがとうございました」と、何度か繰り返してペコペコした。いつも見てますとか、文章が大好きですとか、そんなことは言えるわけなかった。

欲しい本が買えて良かった。

思ったより狭いところに人がぎゅうぎゅう詰めになっていた。暑くて苦しくて汗だくになった。
会場を出てコートを脱ぐと、きっとブラウスに染みができているのではないかと思い、自意識地獄に陥った。
暑すぎたから背に腹はかえられず、洪水ブラウス丸出し状態でモノレールに乗った。
ぐったりして、乗り換えの浜松町駅のベンチで無駄な時間を過ごした。

人が死ぬほど多くて疲れたし、なんだか打ちのめされた。

にぎわっていた。文学フリマに申し込みして、文章を書いて、製本して、宣伝して、当日きちんとブースに座っている人たち……。楽しそうだった。なんだか輝いて見えた。
母校の同人も遠くから見てみた。オタサーの姫っぽい人とオタサーの騎士っぽい人が座っていて、すごくちゃんとした冊子が売られていた。すごくちゃんとしていて、劣等感に苛まれた。
私もやろうと思えばできたはずの青春が、私にはできなかった。

もちろん、やりたければ今からだってやればいい。私にだって同人誌を作ってイベントに参加できるくらいのお金はあるし時間だってある。私にうらやましがる資格はないし、バカにする資格はもっとない。

数年前、地元県の文学フリマにサークル参加の申し込みをしたことがある。なにも書けなくて、参加は見送った。
一般参加すらもしなかった。
どうしても参加したいなら昔書いたものをまとめて印刷して置いておくだけでもべつに良いはずなのに、できなかった。

昔、小説を書いていた頃は悔しいことが山ほどあった。
高校生の頃、色々あって作家に自作を読まれたことがある。実体験として読まれたらしく「あなたの自意識からの脱却を願っています。今は小説ではなく受験勉強を頑張って下さい」みたいな内容の感想の手紙をもらった。
今思い出して、ここに書いても、悔しすぎて心臓がバクバクする。なにが悔しかったのかうまく説明はできない。私の書いたものは高校生の日記で、小説ではないと思われたのか。そういうことが悔しかったのか。会ったこともないのに勝手にかわいそうな子と同情された気がして悔しかったのか。小説の感想じゃなくて、私という人物への望んでもないアドバイスだったことが悔しかったのか。
まあ、今思い返してみても余計なお世話だな……。批評にもなってないし冷静になるとやっぱりクソじゃん……。なんであんなこと言われなアカンねん……(闇堕ち)。

他にもたくさん、バカにされたこともあるし、嫌味を言われたこともある。褒められた経験よりよっぽどそっちが残っている。傷付いたことがたくさんあるけど、小説を書けていた頃の自分が本当にうらやましい。

小説が書けるのって良いなーと思う。

この日記にもなにが書きたかったのか分からなくなった。

とりあえず文学フリマの会場はすごく暑かった。
人口密度えぐかった。
憧れの人から直接本を買ってしまった。
いつか私もサークル参加してみたい……。